左官は「オペレーター」になれるか?効率化の先にある職人の未来。
前回の記事で、左官の非効率さと向き合いました。
しかし、正直に告白すれば、伝統が形を変えていくことへの「恐怖」はあります。
長く続いてきた左官技術の一部というが消えるのは寂しい。けれど、その感傷に浸っている間に、担い手がいなくなってしまうのが今の現実です。
守りたいのは「形」なのか、それとも「左官という文化」そのものなのか。
私は後者を選びます。
1. 「ゆとり世代のわたし」と「ベテラン社長」の奇妙な一致
私が初めて現場を見た時の正直な感想は、「え、めんどくさっ」でした。
材料を練り、運び、塗りつける。この工程の多さに驚いたのです。さらに驚いたのは、ベテランである弊社の社長も、若手で初めて左官に触れた時「なんだこの手間は」と感じていたそうです。
世代を超えて共通していたのは、「左官の工程には、技術とは無関係な『無駄』が多すぎる」という確信でした。
2. 海外の当たり前、日本の停滞
世界に目を向ければ、モルタルの吹き付け機や自動均し機の導入は「当たり前」です。
なぜ日本で浸透しないのか?機械の性能やコストの問題もありますが、根底にあるのは「苦労してこそ職人」、「手仕事こそ美徳」という、固定観念ではないでしょうか。
私たちは100%の機械化を望んでいるわけではありません。下地作りなどの過酷な労働は機械(オペレーター)に任せ、人間は人間にしかできない「デザイン」と「魂の宿る仕上げ」に心血を注ぐ。
この合理的な住み分けこそが、令和の左官に必要なアップデートです。
3. 「最高のオペレーター」という新しい職人像
もし、ラジコン操作で未経験者でもプロ級の下地が作れるようになったら?
それは「技術の低下」ではなく、職人の「可能性の拡大」です。体力の限界に怯えず、より長くクリエイティブな仕事に従事できる。左官の仕事が苦手だった人が、最高のオペレーターとして業界を支える。
「誰がやっても同じ精度が出せる」仕組みを作ることは、左官への入り口を広げ、業界を絶滅から救う唯一の手段なのです。
4. 小さな一歩が、業界の常識を書き換える
私たちのような小さな会社にとって、大規模な設備投資は大きなリスクです。だからこそ、業界全体で「効率化」をタブー視せず、対話を始める必要があります。
伝統を守るとは、形を凍結させることではありません。時代に合わせて「やり方」を最適化し、本質である「空間を美しく彩る」という価値を次世代へ繋いでいくこと。
「左官はオペレーター化できます」。
この挑戦を、私たちは真剣に、そして泥臭く続けていきます。
「本物」を目指す同志へ
上田左官工業は、一生モノの「職人魂」を磨きたい仲間を募集しています。
今の自分を変えたい。そう思ったなら、まずはその一歩から。
共に「本物の世界」を創り上げましょう。