山口の住まいと、職人の未来を「正しく」積算する
――令和8年度 設計労務単価改定に寄せて
自分の子供に、建設業を勧めたいと思いますか?
これは、建設業に勤める多くの職人が胸の奥に抱えてきた、静かで、でも切実な問いです。
令和8年2月17日、国土交通省より、職人の給料の基準となる「公共工事設計労務単価」の改定が発表されました。全国全職種平均で前年度比4.5%の上昇。14年連続の引き上げとなり、全国平均はついに25,000円の大台を突破しました。
この数字の連なりは、単なる物価高への対応ではありません。また、「職人が手にするお給料」のことだけを指しているわけじゃないんです。国を挙げた「現場を支える技能者の地位を、デスクワークに従事するホワイトカラーと同等以上に引き上げる」という、建設業界の構造改革に向けた強い意志の表れです。
今日は、見積書の裏側にある、わたしたちの「誠実な数字」についてお話しさせてください。
●山口県の左官単価「25,100円」だけでは、職人は守れない
令和8年3月から適用される山口県の左官工単価は、25,100円と設定されました。これを聞いて「結構高いな」と思う方もいるかもしれません。しかし、ここには私たち専門工事業者が直面する、ある「事実」があります。
この25,100円という数字は、あくまで職人が手にする「賃金相当額」に過ぎません。会社が職人を一人雇用し、万全の体制で現場へ送り出すためには、この金額だけでは足りないのです。
●削ってはならない「48%」の必要経費
国が示す最新の試算データによれば、職人の賃金を100%とした場合、さらに48%(山口県の左官工なら約12,100円)の必要経費が別途発生します。
・職人の将来を守る費用(法定福利費):社会保険や厚生年金など、職人が安心して長く働ける環境を作るための費用です。
・現場の安全を支える費用(現場作業経費):安全管理費や研修訓練費など、事故のない施工を実現するために不可欠な費用です。
これらを合わせた約37,200円こそが、1日あたりの「真の原価」です。この経費を削ることは、職人の生活を削ることを意味します。それは巡り巡って、10年後、20年後のお客様の大切な資産である「家」の品質に影を落とすことになると、私たちは考えます。
●「誠実な積算」のモデルケース:150万円の工事の内訳
上田左官工業では、曖昧な「一式見積」ではなく、透明性の高い内訳をご提示しています。例えば、総額150万円(税抜想定)の工事なら、中身をこう説明しています。
① 直接労務費 :職人の純粋な賃金(25,100円×工数)・・・熟練の技術に対する正当な対価
② 雇用必要経費:社会保険・安全教育費等(①の約48%)・・・職人の生活と現場の安全を守る盾
③ 材料費 :セメント、漆喰、下地材など・・・耐久性を左右する高品質な素材
④ 直接工事費 :(① + ②) + ③・・・施工を完結させるために必要な原価
⑤ 一般管理費 :現場監督費、通信費、事務経費など・・・工事全体を円滑に進めるための運営費
建設業会では「安さ」を追求するあまり、この中の②や⑤が曖昧にされるケースが業界にはまだ残っています。しかし、社会保障を削られた職人が、果たして10年後、20年後もお住まいのメンテナンスに笑顔で駆けつけることができるでしょうか。
●ブルーカラーが「主役」になれる山口県へ
今、時代は大きな転換期にあります。AIにはできない、ミリ単位のコテさばき。山口の風土を知り尽くした職人の判断力。こうした「手に職を持つプロ」こそが、これからの社会で一番価値のある存在になると確信しています。
私たちは、令和8年度の新基準を追い風に、山口県で一番誠実な積算を行います。それは、元請会社様や協力業者様と共に「持続可能な建設業界」を築くための第一歩でもあります。
安さだけを競うのではなく、職人の人生を守り、それによってお客様の住まいを数十年先まで守り抜く。
上田左官工業は、山口県で一番職人を大切にし、それゆえにお客様に最高の安心を届けられる左官屋であり続けます。
「本物」を目指す同志へ
上田左官工業は、一生モノの「職人魂」を磨きたい仲間を募集しています。
今の自分を変えたい。そう思ったなら、まずはその一歩から。
共に「本物の世界」を創り上げましょう。