2026年10月、山口県の最低賃金が1,101円になります。私たちが今、改めて考えていること
2026年10月8日より、山口県の最低賃金が現行の1,043円から1,101円へ引き上げられる見通しです。58円の引き上げ、引き上げ率5.6%。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、これは単なる”時給の話”ではありません。
会社の経営と、そこで働く人の生活に直結する話です。
■「なんとなく」の給与設定が、いちばん危ない
建設業に限らず、小規模な会社では「とりあえず日当いくら」「口約束でこのくらい」という形で給与が決まっているケースがまだあります。長年の慣習でそうなっていることも多く、悪意があるわけではありません。
ただ、最低賃金は「知らなかった」では済まない法律です。最低賃金を下回る賃金を支払った場合、50万円以下の罰金が科される可能性があります。しかも、社会保険料・交通費・経費などを含めて計算すると、実際の人件費は想像以上にかかっている。「日当1万円払えば大丈夫」という時代は、もう終わりつつあります。
-自分の時給を計算したことがありますか?
社会保険料を含めたら、会社が実際に負担している金額はいくらになるか。
その数字を知ることが、正しい賃金設計の第一歩です。
■どこで法令を違反しているかわからない、という現実
「うちは大丈夫」と思っていても、気づかないところで法令に触れているケースがあります。
・時間外労働の割増賃金が正しく計算されていない
・社会保険に加入すべき従業員が未加入のまま
・スキルと実態に合わない賃金設定になっている
・福利厚生や経費を含めた総人件費を把握できていない
これらは「ずさんな会社だから」起きるわけではありません。忙しい現場の中で後回しにしているうちに、気づけば基準を満たしていなかった、というケースが多い。
■高齢の職人でさえ、賃金が上がっていく時代
最低賃金は毎年上がり続けています。山口県だけを見ても、2015年の731円から2026年には1,101円へ、10年で370円上がっています。
今後も同じペースで上がり続ければ、経験豊富なベテラン職人の賃金はさらに高くなります。一方で、下請け叩きや安請負、価格交渉の圧力は依然として続いています。安い価格で仕事を請け続けながら人件費だけが上がっていく。この構造は、どこかで必ず限界を迎えます。
-安い業者がいなくなっていく時代が、すでに始まっています。
それは、適正な賃金を払える会社だけが残っていく時代でもあります。
■私たちが大切にしていること
私たちは、法改正を「対応しなければならない義務」としてではなく、「会社と従業員を守るための機会」として捉えています。
口約束ではなく、スキルと実態に合った賃金設計をする。社会保険を含めた総人件費を正しく把握する。そのうえで、適正な価格で仕事を受け、適正な利益を残す。それが、長く一緒に働いてもらえる環境をつくることにつながると信じています。
「会社ばかりが損をする」でも「従業員ばかりが割を食う」でもなく、お互いが納得できる関係をつくること。法改正はそれを考え直すための、良いきっかけだと思っています。
賃金の話は、難しく感じるかもしれません。でも「知らなかった」では守れないのが法律です。この機会に、自社の賃金設計を一度見直してみることをおすすめします。
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